こと今年度に限ると、『レコンキスタ』はNo.1パソゲーに値すると考えています。『コットンソフト』2作目にあたるこの作品。2作目という鬼門で、これほどのものを出してくるとは……。1作目の『ナツメグ』が今一つだったのは、ある意味狙いだったのかと勘繰ってしまいます……。

 この作品は、海を埋め立てて作られた海上ニュータウンにて流布した、首刈り女という都市伝説にまつわる物語です。主人公が首刈り女に遭遇し、物語は都市伝説の枠を超えた急展開を見せます。
 以下、一項一項、この作品のオススメポイントに関して語ってみようと思います。

1.伏線の使い方がうまい
 とにかく、伏線の使い方が超一流レベルです。例を挙げますと、この作品は複数主人公制なのですが、主人公の一人が昔作家をしていたことが、他のシナリオに密接に絡み合っている点とか。「この伏線をここで使うか……」と、何度感嘆させられたことか。他、一度使った伏線を再度利用するなど、シナリオの組み方にこだわりが感じられます。

2.余分なキャラがいない
 パソゲーをやると大体、シナリオ上、いなくてもいいキャラがいます。いわゆる“属性”の幅を広げるためには仕方ないことであり、そのためにメインシナリオよりも明らかに質の低いシナリオが入ってくることも不可避なのでしょう。
 しかし、『レコンキスタ』は顔の描かれているキャラに余分なキャラは一人もいません。ヒロインの母や主人公の父親などの脇役や、障害となる存在にすら、全体のシナリオ上で非常に重要な役割が持たされています。属性を増やすためだけのキャラ水増しには不満を抱く方なので、この姿勢は非常に素晴らしいと思います。

3.日付の表示が独特
 『レコンキスタ』の日付は、何月何日という表示ではありません。最終日まで何日、という形で表示されます。この表示形式は、作品全体の緊迫感を何倍にもしています。最終日が来た時の、「ついに辿り着いてしまったか……」という感嘆は、言い表しようもないものです。

4.息をもつかせぬ展開
 都市伝説から始まった話が、中盤でその方角を変え、世代を超えた物語になっていきます。描き出すテーマ、「取リ戻セ」というキャッチコピーや、『レコンキスタ』というタイトルの意味を知ったとき、驚愕に包まれること請け合いです。

 とまぁ、以上の理由から、今年度の作品では随一だと確信しています。結構サクサクと小気味よく進みますし。ストレスがたまらないのは、自分にとっては結構重要。これを超えるのがもし、今年度に出たら、来年度は大凶作を覚悟しますよ……。